XAU / USD3,875−3.68%ドル指数 DXY101.88−0.16%米10年金利4.94%−4bp実質金利 10Y2.60%−3bpWTI原油104.12+2.08%S&P 5007,580.07−1.82%日経22563,290.11−2.12%BTC / USD77,474+0.32%
No. 30平日更新
2026年11月2日(月)
TEITEN定点資金の流れで読む、今日の市場
WEEK 4410.26 — 10.30

第44週|金は週間−3.03%の3,875ドルと1年ぶりの安値。米10年債は4.94%、実質金利は2.60%へ下がったのに、アマゾン・インテルの決算でNasdaqは金曜−2.86%、換金売りで銀は−8.66%。原油だけがホルムズで上げた

AI関連の決算が週の後半に3日続けて売られた。アルファベットが−12.6%、金曜はインテルが約29%安、Nasdaqは−2.86%。資金は米国債へ逃げ、10年債は5.00%から4.94%、実質金利は2.66%から2.60%へ下がった。それでも金は3,996ドルから3,875ドル(読み取り)へ−3.03%と1年ぶりの安値、銀は−8.66%。WTIだけがタンカー攻撃で104.12ドルへ上げた。

Financial and Marketing M16編集:村瀬 一郎2026年10月31日(土) 発行更新 2026-10-31 14:06 JST
今週の要点
  1. 金の現物は10/23確定値3,996.18ドルから10/30読み取り3,875.20ドル(山岳部時間15:00)へ−3.03%(USAGOLD)。週の前半は4,067.55ドル(10/28確定値)まで戻したが、金曜に1日で3%超下げ、Kitcoは1年ぶりの安値と伝えた。銀は−8.66%、プラチナは−7.61%と金より大きく下げた。
  2. AI関連の決算売りが10/29から3日続いた。アルファベットが−12.6%、金曜はインテルが約29%安、アマゾンも約2%安で、Nasdaqは金曜−2.86%、週間−2.00%。10月のNasdaqは2025年3月以来の大きな月間の下げになった(Yahoo Finance)。
  3. 資金は米国債へ逃げた。週間で米10年債は5.00%→4.94%、2年債は4.69%→4.56%、実質金利は2.66%→2.60%(財務省)。ドル指数は101.88と+0.07%でほぼ横ばい。金利もドルも金の逆風ではなかった。
  4. FOMCは10/28に10対2で据え置き、2人が利上げを主張した。FF金利先物からの算出では12月の利上げは0.70回分を織り込む。金曜にはセントルイス連銀のムサレム総裁らが追加の利上げに触れた。日銀は10/30に1.25%で据え置き、基調的な物価は2%と「おおむね整合的」と判断した。
  5. 原油は金曜のホルムズ海峡のタンカー攻撃で上げ、WTIは週間+0.82%の104.12ドル、Brentは+0.79%の117.64ドル。日経225は週間+0.95%の63,290.11円だが、金曜は−2.12%。金ETF・銀ETFの保有量は確かめられず未確認。

各資産の週次パフォーマンス

25 銘柄

貴金属

  • 金(XAU/USD)3,875.20−3.03%読み取り10/23確定値3,996.18から10/30読み取り(山岳部時間15:00)へ−120.98ドル。確定値で4,017.08→4,060.38→4,067.55と週の前半は戻したが、10/29に4,025.63(読み取り)、金曜は1日で3%超下げた。Kitcoは1年ぶりの安値と伝えた。COMEX先物は週足で高値4,097.2、安値3,879.3
  • 銀(XAG/USD)49.097−8.66%前週比は11月限(SIX26)どうし。週足の高値54.293から金曜は安値48.885まで下げ、Kitcoは年初来の安値と伝えた。金の約3倍の下げで、換金売りの重さが銀に出た
  • プラチナ(XPT/USD)1,438.00−7.61%前週比はPLX26どうし。銀と同じく金の2倍を超える下げ。貴金属の中で景気と産業需要に近いものほど売られた
  • 円建て金(XAU/JPY)610,418−2.59%読み取り1トロイオンスあたりの算出値(USAGOLDの読み取り × ドル円NY17時)。ドル円が+0.45%と円安に振れた分だけ、ドル建てより下げが小さい

金利

  • 米2年債利回り4.56%−13bpFOMCで2人が利上げを主張したのに、週間では10年債より大きく下がった。10/29の4.61%、金曜の4.56%と週の後半に株安の逃避で買われた。12月の利上げの織り込みは残っており、利上げ観測より株安の逃避が勝った
  • 米10年債利回り4.94%−6bp10/28に5.05%まで上げたが、アルファベットの急落で10/29に4.98%、金曜は4.94%へ。5%を2週続けて割り込んで越週した
  • 米2-10年スプレッド+38bp+7bp2年債のほうが大きく下がり、傾きが増した
  • 実質金利(TIPS10年)2.60%−6bp2週で14bp下がった(2.74→2.66→2.60%)。金にとっては追い風が続いた
  • 期待インフレ(10年BEI)2.34%±0bp原油が104ドル台でも動かなかった
  • 日本10年債利回り2.876%+4bp10/29時点。日銀の決定前の値

為替

  • ドル指数 DXY101.88+0.07%週の途中で102台に乗ったが、米国債の利回りの低下に沿って戻し、週間ではほぼ横ばい。金の下げはドル高では説明できない
  • USD/JPY157.52+0.45%NY17時。週足は156.65〜158.35。日銀の据え置きの直後に157.12円まで円が買われたが(外為どっとコム)、戻して越週した
  • EUR/USD1.1162−0.38%

商品

  • WTI原油104.12+0.82%週の前半はテヘランでの協議で10/27に99.90ドルと100ドルを割ったが、10/28の攻撃準備の報道と、10/30のホルムズ海峡のタンカー攻撃で戻した。10月は4か月続けて月間で上げた(Reuters、Globe and Mail経由)
  • Brent原油117.64+0.79%10/30は12月限の最終取引日。来週から期近は1月限に替わり、表示上の水準が下がって見える
  • 銅(COMEX)6.4585−0.37%前週比はHGX26どうし。銀・プラチナが大きく下げた週に、銅はほぼ動かなかった

株

  • S&P 5007,580.07−0.57%10/28まで3日続伸したあと、10/29に−0.30%、金曜に−1.82%
  • Nasdaq総合25,437.00−2.00%金曜は−2.86%と6月以来の大きな下げ。10月は月間で5%を超えて下げた(Yahoo Finance)
  • ダウ平均51,770.31−0.85%金曜は−1.09%。月間では上げた(Yahoo Finance)
  • 日経22563,290.11+0.95%10/26に7/30以来の安値をつけたあと3日続伸し、10/29は64,659.47円。金曜はアルファベット・アマゾンを受けて−1,369.36円(−2.12%)と半導体株が売られ、上げの大半を返した

Crypto

  • BTC/USD77,839−4.29%10/30のUTC 0:00の値で、金曜の米国の下げは含まない。現物ETFは週間で2.02億ドルの流出

Vol

  • VIX19.42−0.15%10/29は17.20まで下がっていたが、金曜の株安で19台に戻した
  • 日経VI33.82−11.58%10/29に25.80まで下げたあと、金曜に33.82へ急上昇した
  • MOVE指数100.20−3.01%

クレジット

  • 米HYスプレッド3.26%−12bp10/29時点。株がAI関連で売られても社債の上乗せ金利は縮んだ。金曜の株安は反映していない

週のレシオ

直近20週

金/銀

79.41+4.79
6/19幅 64.08〜79.4110/30

74.6から79.4へ大きく上昇。金が買われたのではなく、銀のほうが3倍近く売られた。不安の買いではなく、換金売りの週だった

金が銀の何倍か。上がる週は不安の買い、下がる週は商品全体の買い

金/原油

37.45−1.36
6/19幅 37.45〜60.0610/30

38.8から37.4へ低下。原油がホルムズの攻撃で上げ、金が下げた。供給とインフレの材料のほうが強く、金の逆風になっている

金1オンスで買える原油の量(バレル)。上がる週は景気の不安、下がる週はインフレ・供給の材料

金/銅

604−15
6/19幅 604〜71110/30

619から604へ低下。ただ景気への期待で銅が買われたのではなく、銅が横ばいのまま金が売られた結果。景気の見方は変わっていない

金と景気の代理(銅)の比。上がる週は景気への不安、下がる週は景気への期待

いずれも COMEX 金先物(GC=F)と、銀(SI=F)・WTI原油(CL=F)・銅(HG=F、ドル/ポンド)の期近先物の比。各週の最後の取引日の値(Yahoo Finance)から算出。 期近の限月が替わる週は、比が限月をまたぐ。

ポジションとフロー

FOMC の織り込み

  • 12/9 の会合4.06%+17.6bp0.25%の利上げ 0.70 回分
  • 1/27 の会合4.12%+6.4bp0.25%の利上げ 0.26 回分

FF金利先物(CBOT)から算出した会合後の政策金利の見込み。起点は実効FF金利 3.88%(10/29、FRED EFFR)。 CME FedWatch と同じ考え方の算出値で、FedWatch の数値そのものではない。

CFTC 建玉(ネットの投機ポジション、4週)

  • 金(COMEX)マネージド・マネー+105,562前週比 +1,356
  • 銀(COMEX)マネージド・マネー+3,321前週比 −184
  • WTI原油(NYMEX)マネージド・マネー+31,128前週比 −5,059
  • 円(CME)レバレッジド・ファンド−14,630前週比 +8,260

CFTC Commitments of Traders。火曜時点の建玉で、金曜に公表。金・銀・原油はマネージド・マネー、円はレバレッジド・ファンド。単位は枚。

ETF の資金フロー

  • BTC現物ETF(米国・合計)−202.4百万ドル10/26 +110.3 / 10/27 +176.0 / 10/28 +137.3 / 10/29 +17.2 / 10/30 −643.2 Farside Investors

未確認:金ETF(GLD)の保有量、銀ETF(SLV)の保有量

週次相関

直近8週
  • 金 × 実質金利(TIPS10年)−0.02ほぼ無関係
  • 金 × ドル指数 DXY+0.06ほぼ無関係
  • 金 × Nasdaq総合+0.04ほぼ無関係
  • 金 × BTC/USD−0.20弱い逆相関

金(COMEX 先物 GC=F)の週間変化率と、各指標の週間変化(実質金利は bp、ほかは変化率)の相関係数。−1 は逆向き、+1 は同じ向きにそろって動いたことを示す。 8週は短く、1週の大きな動きで符号が変わる。因果関係は示さない。算出:Yahoo Finance・FRED DFII10・CoinGecko。各週の最後の取引日どうしの変化

テクニカル・レベル:金(週末時点)
  1. レジスタンス4,06810/28のUSAGOLD確定値(4,067.55)。今週の戻りの高値で、10/29から下げに転じた起点
  2. レジスタンス3,99610/23のUSAGOLD確定値(3,996.18)。前週末の水準で、4,000ドルの節目のすぐ下
  3. レジスタンス3,910Kitcoが挙げる二つ目の上値(3,890→3,910)
  4. 現在値3,87510/30のUSAGOLD読み取り(山岳部時間15:00、3,875.20)。確定値は月曜の日次で照合する。週間−3.03%
  5. サポート3,800Kitcoが挙げる支持帯(3,780〜3,800)の上端
  6. サポート3,780同じ支持帯の下端
テクニカル・レベル:銀(XAG/USD)(週末時点)
  1. レジスタンス54.29今週の週足の高値(COMEX先物、54.293)
  2. レジスタンス52.00Kitcoが挙げる二つ目の上値(51.00→52.00)
  3. 現在値49.10COMEX先物の10/30清算値(49.097)。週間−8.66%
  4. サポート48.89今週の週足の安値(48.885)。Kitcoも49.00を最初の支持に挙げる
  5. サポート47.00Kitcoが挙げる支持帯(47.00〜48.00)の下端
テクニカル・レベル:ドル円(USD/JPY)(週末時点)
  1. レジスタンス158.35今週の週足の高値
  2. 現在値157.5210/30のニューヨーク17時。週間+0.45%
  3. サポート157.1210/30の日銀の据え置き直後の安値(外為どっとコム)
  4. サポート156.65今週の週足の安値

週足のレンジ

  • 金(COMEX 先物)高値4,097.2安値3,879.3値幅217.9始値 4,012.2 → 3,898.9
  • 銀(COMEX 先物)高値54.293安値48.885値幅5.408始値 54.108 → 49.097
  • USD/JPY高値158.35安値156.65値幅1.70始値 156.83 → 157.52

Yahoo Finance(金・銀は COMEX 期近先物の日足、ドル円は1時間足でニューヨーク17時区切り)。金の現物(USAGOLD)とは水準が少し違う。

週の核心テーマ

資金はAI関連株から米国債へ逃げた。金と銀はその逃避先ではなく、株の損失を埋めるために現金化される側に回った。3週続けて同じ構図である。

週の前半は戻りで始まった。AnthropicのNasdaq上場の申請でAI関連が買い戻され、S&P 500は10/28まで3日続伸した(Yahoo Finance)。金もUSAGOLDの確定値で4,017.08 → 4,060.38 → 4,067.55ドルと4,000ドル台を取り戻した。流れが変わったのは10/29からである。アルファベットが決算を受けて−12.6%と上場以来最大の下げになり(Yahoo Finance)、金曜はアマゾンとインテルの決算が続けて売られた。インテルは約29%安、Nasdaqは−2.86%と6月以来の大きな下げで、10月は月間で5%を超えて下げた(Yahoo Finance)。

資金は米国債へ逃げた。週間で米10年債は5.00%から4.94%、2年債は4.69%から4.56%、実質金利は2.66%から2.60%へ下がり、ドル指数は101.88と横ばいだった(財務省、Yahoo Finance)。金にとっては追い風の週である。それでも金は3,996.18ドルから3,875.20ドル(読み取り)へ−3.03%と下げ、Kitcoは1年ぶりの安値と伝えた。銀は−8.66%、プラチナは−7.61%と、金より大きく売られた。Kitcoは金曜の下げについて、米国債の利回りが下がる中での下げであり、株安が貴金属全体の換金売りを強めたと書いた。

前週(第43週)のシナリオと照らすと、週の前半は base の上端(4,068)に届き、着地は bear の目処(3,950割れで3,900)をさらに下回った。ただし bear の発動条件のうち、PCEは予想どおりで、VIXも19台と10/16の22.31を超えていない。当たったのは「決算でAI投資の採算への不安が広がる」の一点で、それだけで目処まで届いた。金利とインフレの条件がそろわなくても、株安だけで金が売られることを、前週の見立ては軽く見ていた。

資金AI関連株売り(金曜 Nasdaq −2.86%)米国債買い(2年債 −13bp)/ 原油買い(WTI 104.12ドル)/ 金・銀・BTC換金売り(金 −3.03%、銀 −8.66%)

今週の主要イベント振り返り

① AI関連の決算が3日続けて売られる(10/28〜10/30)

10/28の引け後に出たアルファベットの7〜9月期決算は、Google Cloudの売上が伸びたものの利益が予想に届かず、10/29は−12.64%と2004年の上場以来で最も大きな下げになった(Yahoo Finance)。同じ日の引け後にはアマゾンが売上・利益ともに予想に届かず、10〜12月期の売上見通しも予想を下回った(Yahoo Finance)。

金曜はアマゾンが約2%安、インテルは10〜12月期の見通しが予想に届かず約29%安と、数十年で最悪の一日になった(Yahoo Finance、StockTitan)。Nasdaqは−2.86%、S&P 500は−1.82%、ダウは−1.09%で、AI投資の重さが利益に結びつくかを、市場は決算ごとに選別した。10/29に小型株が上げたように、株全体からの逃避ではなく、AI関連の大型株への集中を解く動きが続いている。

東京も金曜に追随した。日経225は10/29に64,659.47円まで3日続伸していたが、金曜は−1,369.36円(−2.12%)の63,290.11円と、一時1,900円を超えて下げた(外為どっとコム)。半導体関連が売りを主導し、日経VIは25.80から33.82へ跳ねた。

選別は終わっていない。週間でNasdaqは−2.00%と3週続落になり、金曜の下げは翌週の東京にも持ち越される。

情報元:

② 金は1年ぶりの安値、銀は8%超の下げ:追い風の中の換金売り(10/26〜10/30)

USAGOLDの確定値で、金は10/26が4,017.08ドル、10/27が4,060.38ドル、10/28が4,067.55ドルと、週の前半は前週の下げの4割ほどを取り戻した。10/29はGDPの上振れとアルファベットの急落で4,025.63ドル(読み取り)へ下げ、金曜は1日で3%を超えて下げた。Kitcoの午後の報告では現物は3,879.90ドル(−3.52%)、銀は49.015ドル(−6.06%)で、金は3,900ドルを割って1年ぶりの安値になった。

Kitcoは朝の時点で、ホルムズ海峡のタンカー攻撃による原油高がインフレと追加の利上げの観測を強めたと書き、午後には「株安が貴金属全体の換金売りを強めた」と書いた。FOMCは10/28に10対2で据え置き、クック理事とハマック総裁が利上げを主張した。金曜はセントルイス連銀のムサレム総裁が「早く」動く必要に触れ、リッチモンド連銀のバーキン総裁も追加の利上げがありうると述べた(Yahoo Finance)。

それでも米国債は買われ、2年債は週間13bp下がった。利上げ観測は金を押し下げる材料になったが、金利そのものは逆に動いた。金を下げたのは金利ではなく、株安の日に現金をつくる売りである。銀とプラチナが金の2〜3倍下げたのも、値上がりしていた資産ほど売られたことを示す。

情報元:

③ FOMC・日銀の据え置きと、ホルムズのタンカー攻撃(10/28〜10/30)

10/28のFOMCは政策金利を3.75〜4.00%で据え置き、ウォーシュ議長は先行きの指針を示さなかった。10/29の7〜9月期GDPは年率3.4%と予想の3.1%を上回り、9月PCEは前年比3.6%で予想どおりだった(Kitco、Yahoo Finance)。ECBも10/29に預金金利2.5%で据え置いた。

日銀は10/30に政策金利を1.25%程度で据え置いた。採決は8対1で、高田委員が1.50%への利上げを提案して否決された。展望レポートでは基調的な物価上昇率が2%の目標と「おおむね整合的な水準」と判断し、ETFの売却の速さも2027年1月から年約3,300億円から約8,600億円(簿価)へ上げる(日本経済新聞、外為どっとコム)。植田総裁は2%の持続的・安定的な実現には「まだ至っていない」と述べ、ドル円は発表直後に157.12円まで下げたあと戻した(外為どっとコム)。

原油は週の前半、サウジ・トルコ・パキスタンがテヘランでイランと協議したことで下げ、WTIは10/27に99.90ドルと100ドルを割った。10/28は米国がイラン攻撃の準備を湾岸諸国に伝えたとの報道で戻し、金曜はホルムズ海峡で商船のタンカーが小型船から取り付けられた爆発物で攻撃された(Kitco、Reuters)。WTIは週間+0.82%の104.12ドル、Brentは+0.79%の117.64ドルで、10月は4か月続けて月間で上げた(Reuters、The Globe and Mail経由)。

3つの中銀はどれも動かず、引き締めの予告だけが残った。12月はFRB・日銀ともに利上げが論点になり、原油高がその観測を支えている。

情報元:


今週の資金フロー構造

AI関連株米国債へ / 原油攻撃で買い、投機筋は降りる / 金・銀追い風の中で換金売りの供給源に

第一の流れは、AI関連株から米国債への逃避である。2年債が10年債より大きく下がり、2-10年の傾きは+7bpの+38bpへ増した。FF金利先物からの算出では12月の利上げは0.70回分を織り込み、FOMCでは2人が利上げを主張したのに、短い年限ほど買われた。利上げ観測より株安の逃避が勝った週である。一方で米HYスプレッドは10/29時点で12bp縮み、社債には売りが広がっていない。株の中の入れ替えであって、信用不安を伴うリスクオフではない。BTC現物ETFも週間で2.02億ドルの流出と、リスク資産全般からは小さく資金が抜けた。

第二の流れは、原油の値上がりと投機筋の撤退の食い違いである。WTIは104ドル台で週を終えたが、CFTCの建玉でマネージド・マネーの買い越しは4週続けて減り、10/6の約5.4万枚から10/27は約3.1万枚になった。価格を押し上げているのは投機の買いではなく、攻撃のたびに上がる供給の不安である。金/原油レシオが38.8から37.4へ下がったのも、原油の材料のほうが強いことを示す。

第三に、金・銀の換金売り。金/銀レシオは74.6から79.4へ大きく上がったが、金が買われたのではなく銀のほうが売られた。建玉で銀の投機筋の買い越しは4週続けて減り、10/27は約3,300枚とほぼ買いが尽きかけている。金の買い越しは10/27に約10.6万枚と小さく増えたが、金曜の急落はその後に起きた。直近8週の相関は金と実質金利で−0.02、ドル指数で+0.06とほぼゼロで、金はいま金利やドルではなく、株のポジションの都合で動いている。

総括:AI関連株の選別が米国債を買わせ、金利とドルは金の追い風になった。それでも金は株の損失を埋める現金の出どころとして売られ、銀はさらに売られた。原油だけが攻撃で上がり、12月の利上げ観測を支えている。

情報元:


来週の備え(11/2〜11/6)

最重要イベント

最も重いのは11/6の米10月雇用統計である。非農業部門の雇用者数の予想は5.5万人(前回2.9万人)、失業率は4.2%、平均時給は前月比+0.3%(Newsquawk)。予想は5.5万〜6.5万人と出所で幅がある(CMC Markets、FXStreet)。12月の利上げは算出で0.70回分を織り込んでおり、雇用の弱さが出ればこれが下がり、賃金が強ければ確実視に近づく。

その前に11/2のISM製造業(予想54.7)、11/4のISM非製造業(予想54.7)が続く。どちらも価格の項目が焦点になる。11/4には米財務省の四半期定例入札(リファンディング)の発表があり、長い年限の発行額が増えれば、逃避で下がった10年債の利回りが戻る材料になる。

海外では11/3のRBAと11/5のBoEが利上げに踏み切るかが論点で、Newsquawkはどちらも0.25%の利上げを見込む。BoEは据え置きを見込む見方もあり(CMC Markets)、割れている。

国内政治・政策の波乱要因

11/3は文化の日で東京は休場になり、中間選挙の結果は11/4の東京で受ける。日銀は基調的な物価を2%と「おおむね整合的」と判断し、市場の関心は12月の1.50%への利上げに移った(外為どっとコム)。11/5の9月会合の議事要旨は、9月の利上げを決めた議論の中身を示す。

ETFの売却を2027年1月から約2.6倍に速める決定は、すぐの需給ではなく、来年の株の下支えが薄くなる材料として意識される。ドル円は157円台で、財務省は6月に162円台をつけた局面でも踏み込んだ発言を控えていた(Bloomberg、Yahoo!ファイナンス経由)。現在の水準では、介入の警戒より日銀の12月の判断のほうが円を動かすと見る。

地政学シナリオ

米国とイスラエルのイランとの戦争は8か月目に入り、ホルムズ海峡では金曜にもタンカーが攻撃された。誰の仕業かは確かめられていない(Kitco)。カタールの仲介で戦争を終える案が示されたとの報道もあり(The Globe and Mail)、交渉と攻撃が並んで続いている。

11/3の中間選挙が分かれ目になる。前週から、選挙のあとにイランへの攻撃を再開する計画が報じられてきた。世論調査は下院の多数派が入れ替わる可能性を示している(investingLive)。選挙のあとに軍事行動が起きれば、原油高 → 期待インフレの上昇 → 12月の利上げの確実視 → 実質金利の低下が止まる、という金の逆風の連鎖が動く。逆に交渉が進めば、原油安で利上げ観測が下がり、金の追い風になる。

日経・円の焦点

日経225は週間+0.95%の63,290.11円で越週した。10/26に7/30以来の安値をつけたあと3日続伸し、10/29は64,659.47円まで戻したが、金曜に−2.12%と上げの大半を返した。日経VIは33.82とVIXの1.7倍で、東京の警戒は米国より強い。

来週は4営業日で、11/4に中間選挙の結果を、週明けにインテル・アマゾンの急落を受ける。AI関連の選別が続く限り、日経225の上げは半導体に偏っているぶん崩れやすい。

予想レンジ:上限 65,000円 〜 下限 61,500円

レンジは編集部の想定で、上限は10/29の終値(64,659.47円)を上抜ける場合の目安、下限は10/26の終値(62,189.65円、7/30以来の安値)を割り、そこからさらに約1%下げる場合の目安として置いた。

金・銀・ドル円の焦点

金はUSAGOLDの読み取りで3,875ドル、COMEX先物は週足で4,097.2〜3,879.3ドル。Kitcoは3,890〜3,910ドルを上値、3,780〜3,800ドルを支持帯に挙げる。換金売りが止まれば金利の追い風が残っているぶん戻りは速いが、雇用統計と原油しだいで支持帯を試す。

銀は週足で54.293〜48.885ドルと5ドルを超えて振れ、金曜は週の安値の近くで引けた。投機筋の買い越しはほぼ尽きており、売り込む余地も小さい。

ドル円は週足で156.65〜158.35円。日銀の据え置き後も157円台を保ち、日米の金利差は動いていない。雇用統計で米金利が動けば、その方向にそのまま振れる。

金の予想レンジ:上限 4,000ドル 〜 下限 3,750ドル 銀の予想レンジ:上限 53.00ドル 〜 下限 46.50ドル ドル円の予想レンジ:上限 159.00円 〜 下限 155.50円

いずれも編集部の想定で、金の上限は4,000ドルの節目と10/23確定値3,996ドル、下限はKitcoの支持帯(3,780ドル)を割った場合の目安。銀の上限は今週の高値54.29と52.00の間、下限はKitcoの支持帯(47.00)を割った場合。ドル円は今週の週足のレンジを上下に約0.7円ずつ広げて置いた。

情報元:

来週のシナリオ

3 案
Bull Case上振れ

11/6の雇用統計が予想(5.5万人)を下回り、ISMの価格指数も落ち着く。中間選挙は大きな混乱なく終わり、AI関連株の売りが止まる。Brentの期近(1月限)が115ドルを超えない

12月の利上げの織り込み(算出で0.70回分)が下がる → 実質金利が2.6%を割って下がる → 株の損失を埋める換金売りが止まり、2週続けて効かなかった金利低下の追い風が金に届く

価格目処3,910を上抜けて4,000ドルの節目と3,996、続いて4,068

Base Case基本

雇用統計とISMはおおむね予想どおり。中間選挙は世論調査どおりで、AI関連の選別は続くが広がらない。Brentは110〜120ドル、米10年債は4.9〜5.0%

株安からの逃避で実質金利は2.6%前後にとどまる → 原油高と12月の利上げ観測が残り、金利の追い風は強まらない → 金は換金売りが細る一方で買い戻しの材料も無く、今週末の水準を挟んで動く

価格目処3,800〜3,996のレンジ(中心は今週末の3,875〜Kitcoの上値3,910)

Bear Case下振れ

ホルムズ海峡で攻撃が続き、Brentが120ドルに近づく。雇用統計の賃金やISMの価格指数が強く、11/5にBoEが利上げに踏み切って世界の引き締めが意識される。AI関連の売りが他の大型株にも広がる

原油高 → 期待インフレの上昇 → 12月の利上げが確実視され、実質金利の低下が止まる → 株の損失を埋める換金売りが金・銀にも続く → 金は3,800ドルの支持帯を割る

価格目処3,800割れで3,780、続いて3,750

来週の主要スケジュール

★ は最重要
  1. 11/2(月)
    • 米10月ISM製造業景況指数(予想54.7)
    • 米財務省の四半期の資金調達見通し
    • 中国全人代常務委員会(〜11/6)
  2. 11/3(火)
    • ★米中間選挙(結果は日本時間11/4)
    • 豪準備銀行(RBA)の政策金利
    • 米9月JOLTS求人件数
    • 日本は文化の日で休場
  3. 11/4(水)
    • 米10月ISM非製造業景況指数(予想54.7)、ADP雇用統計
    • 米財務省の四半期定例入札(リファンディング)の発表
    • ユーロ圏10月CPI速報、スウェーデン中銀の政策金利
  4. 11/5(木)
    • ★英中銀(BoE)の政策金利と金融政策報告(0.25%の利上げ予想)
    • 日銀9月会合の議事要旨、ノルウェー中銀の政策金利
  5. 11/6(金)
    • ★米10月雇用統計(非農業部門の予想5.5万人、失業率4.2%)
    • 米11月ミシガン大学消費者信頼感(速報)
    • CFTC建玉(COT)の公表(火曜時点)
Market Bias(来週)

弱気。今週、実質金利は6bp下がり、ドル指数もほぼ動かなかったのに、金は−3.03%で1年ぶりの安値へ沈み、銀は−8.66%と3倍近く売られた。株の損失を埋める換金売りが、金利の追い風を3週続けて上回った。来週は11/3の中間選挙、11/5のBoE、11/6の雇用統計が続く。AI関連株の売りが止まるかが換金売りの行方を、雇用統計が12月の利上げの織り込みを決めると見る。