2026/10/09(金)|米10年債は日中5.35%から5.22%へ戻して引け。Nasdaqは−1.25%と急落し、原油は+3.64%の91.49ドル。金は4,139ドルへ反発、日経平均は−1.42%の6.90万円
10/8の米国は、米10年債が日中に2002年以来の5.35%近くまで上がり、引けは5.22%(−6bp)。実質金利は2.87%へ低下した。OpenAIの売上をめぐる報道でNasdaqは−1.25%と急落し、WTIはイラン攻撃の報道で+3.64%の91.49ドル。ドル指数は−0.12%の102.11。金の現物は前日の確定値から0.68%高い4,139ドル。日経平均は−1.42%、69,042.11円で引けた。
- 米10年債は5.22%(−6bp)、実質金利は2.87%(−5bp)。日中は2002年以来の5.35%近くまで上げ、トランプ氏が「中間選挙前にイランを攻撃しない」と投稿した後に戻した(財務省、CNBC)。
- Nasdaqは27,193.34(−1.25%)、S&P500は7,765.36(−0.47%)、ダウは51,231.64(+0.10%)。OpenAIの売上が報じられた70億ドル規模に届かないとの報道が、AI関連株を押し下げた。
- WTIは91.49ドル(+3.21、+3.64%)、Brentは104.28ドル。イラン攻撃の検討報道、ホルムズ海峡での船舶への攻撃、ハリケーンによる海上生産の停止懸念が重なった。
- 金(USAGOLD読み取り)は4,138.92ドルで、10/7の確定値4,110.82ドルから+0.68%。実質金利の低下とドル指数の小幅安が支えた。
- 日経平均は69,042.11円(−1.42%)、10/8の東京市場終値。日経VI、BTC現物ETFの資金フローは未確認。
- レジスタンス4,2309/28に割り込んだネックライン
- レジスタンス4,2199/30の日中高値(4,219.24ドル)
- レジスタンス4,16510/6のUSAGOLD確定値(4,164.59ドル)
- 現在値4,13910/8のUSAGOLD読み取り値(山岳部時間17:10)。確定値は翌号で照合する
- サポート4,11110/7のUSAGOLD確定値(4,110.82ドル)と、9/28の日中安値(4,110.87ドル)
- サポート4,000心理的節目。出典のある水準ではなく節目としての目安
2026/10/09 08:10 JST(10/8の米国セッションを扱います。10/8の日経平均は東京時間の終値で、この米国セッションより前の動きです)
Macro Theme
前号は、金利とドルが金の方向を決めると書いた。この日は金利が日中に急上昇した後に戻し、売られたのは金利ではなくAI関連株だった。米10年債は日中に2002年以来の高さとなる5.35%近くまで上がり、引けは5.22%(−6bp)。実質金利は2.87%(−5bp)。ドル指数は−0.12%の102.11で、前日の高値圏から小幅に下げた。
株の下げ役はAIだった。OpenAIが投資家に、9月末時点の年換算の売上が約500億ドルに近づいていると伝えたとの報道が出た。先に報じられていた700億ドルには届かず、データセンター投資の先行きをめぐる懸念が広がった(Investrade)。Nasdaqは−1.25%の27,193.34、S&P500は−0.47%の7,765.36。一方、ダウは+0.10%の51,231.64、ラッセル2000は+0.03%の2,794.13で、前日に崩れた小型株は横ばいに戻った。
原油はイラン情勢で大きく動いた。米国がイランへの大規模な軍事作戦を検討しているとの報道で、WTIは日中に5%近く上げた。その後、トランプ氏が「11月3日の中間選挙までイランを攻撃することはない」と投稿し、上げ幅を縮めた。WTIの清算値は91.49ドル(+3.64%)。金は4,139ドル(USAGOLD読み取り)へ反発した。
Market Drivers
① 米長期金利が日中に2002年以来の高さへ、引けにかけて戻した
CNBCは、10年債が日中に5.35%まで上がり、2002年以来の高水準に近づいたと伝える。財務省の引け値は5.22%(前日5.28%)。Investradeは5.232%(−4.9bp)、30年債は5.606%(−5.5bp)で、上がった後に戻る形だった。年限別では2年債が4.75%(−2bp)、30年債が5.60%(−7bp)。英国では30年債の利回りが6.047%と1998年以来の高さをつけた(Investrade)。
実質金利は2.87%(−5bp)、期待インフレ率(10年BEI)は2.35%で、名目の低下は実質金利の低下とほぼ一致する。日中の振れが引けの数字より大きい日が続いている。引けで見ると、金にとっては前日までの逆風が少し緩んだ。
② AI関連株の急落:OpenAIの売上報道
Nasdaqは−1.25%で、前日までの最高値圏から2日続けて下げた。Yahoo Financeによれば、エヌビディア、マイクロン、インテルなど半導体株が重かった。ただし報道は売上が約500億ドルと700億ドルのどちらに近いかをめぐるもので、企業の決算で確かめられた事実ではなく、報道に反応した動きである(Investrade)。
AIへの投資期待が崩れると、最高値を支えてきた大型株から崩れる。前号で指摘した「上昇の偏り」の裏返しが、小型株ではなくNasdaqとして出た。ダウは+0.10%で、エネルギーと生活必需品が買われた(Investradeの寄り付き後のセクター別騰落)。
③ 原油:イラン攻撃の検討報道と、トランプ氏の「攻撃しない」投稿
WTIは日中に5%近く上昇し、Brentは一時104ドルを超えた(Yahoo Finance)。要因は、米国がイランへの大規模作戦を検討しているとの報道、ホルムズ海峡での船舶への攻撃、フーシ派のミサイル攻撃、ハリケーン「イサイアス」による海上生産の停止懸念である(Investrade)。トランプ氏の投稿で上げ幅は縮んだが、WTIの清算値は91.49ドル(+3.21ドル)、Brentは104.28ドル(+4.08ドル)で引けた。
原油高はインフレ懸念を通じて長期金利を押し上げる。この日は金利の日中高値と原油の高値がほぼ同じ時間帯で、引けにかけて両方が戻した。
情報元:
- Investrade(Market Review: October 08, 2026)
- Yahoo Finance(Stock market today、2026/10/08)
- NBC News(Trump’s pledge not to hit Iran before midterms can’t soothe oil)
金利(起点)
米10年債利回り:5.22%(−6bp。財務省 日次イールドカーブ、10/8。前日5.28%)
米2年債利回り:4.75%(−2bp。財務省)
米30年債利回り:5.60%(−7bp。財務省)
日本10年債利回り:3.111%(10/7。財務省の最新掲載分で、10/8分は未掲載。前号の10/6分は3.103%)
実質金利(TIPS10年):2.87%(10/8、財務省 実質利回りカーブ。前日2.92%)
期待インフレ率(10年BEI):2.35%(10/8時点、FRED T10YIE)
前号のシナリオAは金利の上昇、Bは低下を想定した。結果は日中の上昇を打ち消す低下。名目5.22%は実質2.87%と期待インフレ2.35%に分解でき、前日から実質側が−5bp、期待インフレは−1bp。日本の10年債は3.1%台で小幅に上昇し、日米の金利差は5.22%と3.11%で約2.1ポイントに縮んだ。
水準は24年ぶりの高さの圏内にとどまる。日中は5.35%近くまで上がっており、引けの5.22%との差が市場の不安定さを示す。
情報元:
- 米財務省(Daily Treasury Par Yield Curve Rates 2026)
- 米財務省(Daily Treasury Par Real Yield Curve Rates 2026)
- 財務省(国債金利情報 jgbcm.csv)
- FRED(T10YIE 期待インフレ率10年)
- Investrade(Market Review: October 08, 2026)
ドル
DXY:102.11(−0.12%、10/8。Yahoo Financeの日足は102.115で前日102.24。Trading Economicsは102.1089で−0.13%と記す)
USD/JPY:157.80円(−0.26、Investradeの表示値。終値かは未確認)
EUR/USD:1.1217(+0.0018、Investradeの表示値)
ドル指数は前日の102.24から小幅に下げた。米長期金利の低下と同じ向きの動き。ドル円は157円台後半で、円は安値圏にとどまる。
情報元:
- Trading Economics(United States Dollar)
- Yahoo Finance(Stock market today、2026/10/08)
- Investrade(Market Review: October 08, 2026)
商品
WTI:91.49ドル(+3.21、+3.64%、10/8の清算値。Investrade。前日88.28ドルとの差と一致する)。清算後の取引では91.06ドル前後(Yahoo Finance、CL=F)で、清算値との差は定義の違い
Brent:104.28ドル(+4.08、Investrade。限月は未確認)
金(現物):4,138.92ドル(10/8 USAGOLD価格履歴を山岳部時間17:10に読み取り。10/7の確定値4,110.82ドルから+28.10ドル、+0.68%)。現物の終値は未確認。12月限の先物は4,157.00ドル(+16.30、+0.39%、Investrade)で、現物と先物の差は定義の違い。系列はUSAGOLDに固定する。なお前号の読み取り値4,108.37ドルは、確定値4,110.82ドルより2.45ドル低かった
Macro Drivers(三軸)
実質金利:2.87%で前日から−5bp。金への逆風が少し緩んだ
ドル:DXYは102.11前後へ小幅に低下。金には小さな追い風
地政学:米国のイラン攻撃検討報道とトランプ氏の「攻撃しない」投稿で、原油は大きく振れた。金へのリスク回避の買いは限られ、この日の金は金利とドルに従った
資金フロー結論
金は前日に4,111ドルを割り込んだが、この日は実質金利の低下とドルの小幅安で4,111ドルを回復した。ただし4,165ドル(10/6確定値)には届いていない。
情報元:
- Investrade(Market Review: October 08, 2026)
- USAGOLD(Daily Gold Price History)
- Yahoo Finance(Stock market today、2026/10/08)
株
S&P 500:7,765.36(−36.41、−0.47%)(10/8。Yahoo Finance、CNBCも同値。Investradeは7,765で−36.29)
Nasdaq総合:27,193.34(−345.35、−1.25%)(10/8。Yahoo Finance、CNBC、Investradeとも−345.35)
ダウ平均:51,231.64(+51.77、+0.10%)(10/8。Yahoo Finance、CNBC。Investradeは+51.83)
ラッセル2000:2,794.13(+0.92、+0.03%)(Yahoo Finance)
日経225: 69,042.11(−993.60、−1.42%)。10/8の東京市場終値(Yahoo Financeの指数データとCNBCの相場表示。前号の70,035.71円との差と一致する)。TOPIXは−1.51%の4,091.46(検索で得た報道の値で、確かめられた出所は1つ)
米株はNasdaqだけが大きく下げ、ダウは小幅高。AI関連が売られ、エネルギーと生活必需品が買われた。前日の小型株安は止まった。
日経の下落は、10/7の米株安と円安の安値圏を受けた東京時間の動きで、この米国セッションより前。10/8の米株安(Nasdaq −1.25%)は本日10/9の東京市場に反映される。
情報元:
- Yahoo Finance(Stock market today、2026/10/08)
- Investrade(Market Review: October 08, 2026)
- CNBC(Stock market today、2026/10/08)
Crypto
BTC:81,784ドル(10/9 08:07 JST時点、CoinGecko)。24時間前(10/8 09:00 JST=10/8のUTC 0:00)の基準値83,282ドルから−1.8%。Yahoo Financeも81,779ドル(−1.80%)と表示している。一時は約3週間ぶりの安値圏の81,000ドル前後まで下げた
株はNasdaq −1.25%、BTCは−1.8%で、同じ向きでBTCの方が大きく下げた。金は+0.68%と逆の動きで、前日とは違い、金とBTCが分かれた。原油と長期金利の上昇がリスク資産に効いた日に、金は実質金利の低下に支えられた。
現物ETFの資金フローは未確認。
情報元:
Volatility
VIX:15.41(10/8、+0.33、+2.19%、Yahoo Finance。前日15.08は10/7のFRED VIXCLSと一致)
日経VI:10/8分は未確認
VIXは15台前半で、Nasdaqが−1.25%でも小幅な上昇にとどまった。警戒感は薄いまま。Investradeが伝えるFear and Greed指数は41(「恐怖」圏、前週28、Investrade)で、センチメントは少し改善している。日経VIが取れていないため、日米の温度差は今号では比較しない。
情報元:
- Yahoo Finance(Stock market today、2026/10/08)
- FRED(VIXCLS)
- Investrade(Market Review: October 08, 2026)
今日の資金フロー
総括:議事要旨後の金利上昇は、日中に5.35%近くまで進んだ後、引けでは戻した。金は実質金利の低下で4,111ドルを回復したが、原油高が続けばインフレ懸念で金利が再び上がる。10/14のCPIまで、原油と長期金利の動きに左右される。
マーケットポジション(中期の歪み)
最大の歪みは、「長期金利が24年ぶりの高水準圏にあるのに、株が最高値圏にあること」である。この日はNasdaqが−1.25%と崩れ、最高値圏を支えてきたAI関連が先に売られた。金利が下がらなければ、AIへの投資期待が崩れたときの下げが大きくなる(推測を含む)。
もう一つは、原油が金利とインフレ期待を動かしていること。イランをめぐる報道一つでWTIが5%近く動き、長期金利が同じ時間帯に動いた。トランプ氏の「11月3日まで攻撃しない」という投稿は、その後の原油を落ち着かせたが、期限が示された分だけ、その先の不確実性が残る。
三つ目は、利上げ局面が続いている点。FOMCの議事要旨は年内にもう1回の利上げを視野に入れている。インフレのリスクが上向きなら、金利が下がりにくい前提は変わらない。
Next Flow(短期)
シナリオA:原油が再び上昇し、長期金利が5.3%台へ乗せる
シナリオB:原油が落ち着き、長期金利が5.2%台で安定する
シナリオC:AI関連株の下げが広がり、株が調整する
BTCは株と同じ向きに動きやすい。
Market Bias(短期)
中立。金利は引けで戻したが、日中は5.35%近くまで上がっており、原油と金利の向きがそろわない限り方向は決めきれない。
最優先の監視項目は3つ。
- 米10年債の5.3%と実質金利2.9%。上抜けるか、5.2%台で安定するか
- 金の4,111ドルの維持と4,165ドルの回復。ドル指数の102台での推移
- WTIの90ドル台での推移と、10/14の米CPI。Nasdaqの下げが続くか
本日の市場スケジュール(JST)
- 東京市場:通常取引。10/8のNasdaq急落(−1.25%)を受けた寄り付き
- 10/14 米CPI、10/27〜28 FOMC
本日10/9の個別の経済指標は未確認。
情報元:
2026/10/09 08:10 JST 時点。主要トリガーは米長期金利の日中の上昇と戻し、OpenAIの売上報道によるNasdaqの急落、イラン攻撃の検討報道による原油の上昇。