2026/10/02(金)|米10年債は5.344%の高値から5.234%へ反落、原油はWTI 92.87ドルへ急伸。金は4,171ドルでレンジのまま雇用統計へ
10/1の米国は、10年債利回りが日中5.344%と2002年以来の高値を付けたあと5.234%へ反落した。ISM製造業は54.5、価格指数は77.9へ急上昇。原油は空母派遣報道と中国の燃料輸出停止でWTI 92.87ドル(+2.7%)。ドル指数は102台と1年半ぶりの高値、金は4,171ドル(+0.4%)でレンジを出なかった。S&P500は+0.19%、日経平均は+3.30%。
- 米10年債は日中5.344%(2002年以来の高値)のあと5.234%(−5.9bp)で引けた。30年債は高値5.693%、終値5.603%。
- ISM製造業は54.5(予想54.9)、価格指数は77.9(+6.8pt)。新規失業保険申請は19.7万件(予想20.0万件)。
- 原油は急伸。WTI 92.87ドル(+2.7%)、Brent 12月限102.31ドル(+4.4%)。第3の空母打撃群の派遣報道と中国の燃料輸出停止が材料。
- ドル指数は102.03前後と2025年3月以来の高値。金は4,171.19ドル(+0.4%、米東部14:19時点)でレンジ内、終値は未確認。
- 実質金利は2.93%(9/30時点)。10/1分の実質金利とVIXの確定値は未確定で、次号で差し替える。
- レジスタンス4,300心理的節目。9/25終値4,280ドル近辺の水準
- レジスタンス4,2309/28に割り込んだネックライン。10/1も届いていない
- レジスタンス4,2199/30の日中高値(4,219.24ドル)。PCE直後の上昇はここで止まった
- 現在値4,17110/1の現物(米東部14:19時点、Reuters)。終値は未確認
- サポート4,1569/30の終値(4,155.93ドル)。前号では未確認だった値
- サポート4,1119/28の日中安値(今週の安値4,110.87ドル)。10/1も割り込んでいない
- サポート4,000心理的節目。出典のある水準ではなく節目としての目安
2026/10/02 09:45 JST(10/1の米国セッションを扱います。本日発表の雇用統計は含みません)
Macro Theme
前号は、利上げ観測が後退しても長期債が売られ続ける日だった。10/1は、その長期債の売りがいったん止まった。10年債利回りは午前に5.344%と2002年以来の高値を付けたが、昼前から低下に転じ、5.234%(−5.9bp)で引けた。30年債も5.693%まで上げたあと5.603%で終えている。
止まった理由が、材料の好転ではない点が重要である。同じ日にISM製造業の価格指数は77.9へ6.8ポイント跳ね、原油はWTIが92.87ドル(+2.7%)、Brentが102.31ドル(+4.4%)へ急伸した。金利を押し上げるはずの材料が並んだ日に金利が下がっており、売りの一巡(買い戻し)とみるのが自然である(推測を含む)。
株は金利に沿って動いた。ダウは寄り付き+0.4%から午前に−0.7%まで下げ、金利の反落とともに戻して+0.04%。S&P500は+0.19%、Nasdaqは+0.04%で引けた。一方、ドル指数は102台と2025年3月以来の高値を付け、金は4,171ドル(+0.4%)でレンジを出なかった。金利が下がってもドルが下がらなかったことが、金の上値を抑えている。
Market Drivers
① 米10年債が5.344%の高値を付けたあと反落
10年債利回りは日中に5.344%(2002年以来の高値)、30年債は5.693%(24年ぶりの水準)まで上昇した。昼前から低下に転じ、10年債は5.234%(−5.9bp)、30年債は5.603%(−3.6bp)で引けた。2年債は日中に10bp低下したと伝えられている。
債券売りの「疲れ」を指摘する声が出ている(CNBC)。CME FedWatchの10月利上げ確率は26%(1週間前は69%)、12月は62%とされる(Kiplinger)。Trading Economicsは10月を約37%としており、時点と算出の違いで幅がある。利上げが消えたのではなく、10月から12月へ後ろにずれたという織り込みである。
② ISM製造業は拡大継続、価格指数が急上昇
9月のISM製造業景況指数は54.5(予想54.9)。価格指数は77.9(前月比+6.8ポイント)へ急上昇し、雇用指数は52.7(+1.5ポイント)だった。新規失業保険申請件数は19.7万件(予想20.0万件)で、4週連続の減少。Challengerの人員削減計画は43,281人(前月比−39%)である。
景気と雇用は底堅く、物価の先行指標だけが跳ねた。本来は金利の上昇材料である。Fedのジェファーソン副議長は、インフレは高すぎるとしつつ、長期金利の上昇を踏まえて判断には「より時間がかかるかもしれない」と述べた。
③ 原油が急伸。空母派遣報道と中国の燃料輸出停止
WTIは92.87ドル(+2.7%)、Brent(12月限)は102.31ドル(+4.4%)で引けた。米国が第3の空母打撃群を中東へ派遣し(11月末までに到着)、最大1万人を増派するとウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。中国が10月の石油製品輸出を停止したとの報道も重なった。
前号で「一部戻った」と書いた地政学プレミアムが、さらに上乗せされた。Brentは9/30に期近が11月限から12月限へ交代している。前号の103.50ドルは11月限の最終値で、+4.4%は12月限(9/30終値98.03ドル)に対する変化率である。水準が下がったように見えるのは限月交代のためで、値下がりではない。
情報元:
- CNBC(S&P 500 closes higher to start October as Treasury yields retreat from multiyear highs、2026/10/01)
- Kiplinger(Stocks Gain as Treasury Yields Fluctuate: Stock Market Today、2026/10/01)
- Yahoo Finance(Dow, S&P 500, Nasdaq stage comeback as Treasury yields fall, chip stocks gain、2026/10/01)
- Rio Times(Oil Rebounds as Iran Talks Stall, WTI Settles at US$90.42。Brentの限月交代の記載)
- Trading Economics(Brent crude oil)
金利(起点)
米10年債利回り:5.234%(−5.9bp。日中高値5.344%。Kiplinger。Yahoo Financeも終値5.24%)。確定値は5.29%(9/30時点、FRED DGS10)
米2年債利回り:4.80%前後(Trading Economics。CNBCは日中に−10bpと報じた)。確定値は4.88%(9/30時点、FRED DGS2)
米30年債利回り:5.603%(−3.6bp。日中高値5.693%。Kiplinger)。Trading Economicsは5.62%。確定値は5.64%(9/30時点、FRED DGS30)
日本10年債利回り:3.092%(10/1、財務省 国債金利情報)。日中は3.12%と1996年8月以来の水準まで上げた(Trading Economics)
実質金利(TIPS10年):2.93%(9/30時点、FRED DFII10)
期待インフレ率(10年BEI):2.36%(10/1時点、FRED T10YIE)
前号で持ち越した9/30分が確定した。実質金利は2.91%から2.93%へ、期待インフレは2.35%から2.36%へ動いた。
9/30の名目上昇(+3bp)のうち、2bpが実質金利、1bpが期待インフレである。PCEが下振れた日にも、上昇の主役は実質金利だった。実質金利は9/25の2.83%から3営業日続けて上がっている。
10/1は名目が5.9bp下がった。期待インフレは2.36%で横ばい(10/1時点、FRED)なので、低下分は実質金利の側で起きた計算になる。ただし10/1分の実質金利は未確定で、次号で確認する。
2年債も10年債も30年債も下がっており、前号の「短期は買い、長期は売り」という分かれ方は10/1には当てはまらない。年限を問わない買い戻しである。日本の10年債は3.09%と30年ぶりの高水準にあり、日米とも長期金利が高い状態は変わっていない。
情報元:
- Kiplinger(Stocks Gain as Treasury Yields Fluctuate、2026/10/01)
- CNBC(Treasury yields seesaw、2026/10/01)
- Trading Economics(US 2 Year Note Yield)
- Trading Economics(US 30 Year Bond Yield)
- 財務省(国債金利情報 jgbcm.csv)
- Trading Economics(Japan 10 Year Government Bond Yield)
- FRED(DFII10 実質金利10年)
- FRED(T10YIE 期待インフレ率10年)
- FRED(DGS10 名目10年)
ドル
DXY:102.03(Trading Economics。日中に102へ乗せ、2025年3月以来の高値。FXStreetも「102.00近辺の年初来高値」)。9/30の終値101.45(Rio Times)に対して+0.6%程度
USD/JPY:158.09円(Trading Economics)。日中は158.40円近辺まで上げた(FXStreet)。前日比+0.5%程度(TradingKey、FXStreet)
ドル指数は4営業日続伸した。注目点は、米金利が下がった日にもドルが下がらなかったことである。円の側に理由がある。日銀の9月会合「主な意見」が、市場の期待したほど強い利上げ示唆を含まなかったと受け止められ、円が売られた(FXStreet、Trading Economics)。日本の10年債が30年ぶりの高水準にあっても、円は158円台へ下げている。
情報元:
- Trading Economics(United States Dollar)
- FXStreet(USD/JPY jumps to near 158.40 as traders reassess hawkish BoJ bets、2026/10/01)
- Trading Economics(Japanese Yen)
- TradingKey(USD/JPY Surges on Oct 1)
- Rio Times(Gold Slips 0.7% to US$4,156。9/30のドル指数終値の記載)
商品
WTI:92.87ドル(+2.7%。CNBC、Trading Economics)
Brent:102.31ドル(+4.4%、12月限。Trading Economics。CNBCは日中102.55ドル、+4.6%)。前号の103.50ドルは11月限の最終値で、連続していない
金(現物):4,171.19ドル(+0.4%、米東部14:19時点、Reuters配信のCNBC記事)。終値はTrading Economics(CFD)で4,177.94ドルだが、突き合わせられる2本目が無く終値は未確認とする。朝方は4,167.00ドル(USAGOLD)、10/2のアジア早朝は4,180ドル近辺(FXStreet)
前号で未確認だった9/30の終値は4,155.93ドル(−0.70%)、日中高値は4,219.24ドルと確認できた(Rio Times。USAGOLDの10/1朝の前日比から逆算した値とも一致する)。前号に書いた「日中4,166〜4,188ドル」より値幅は広く、PCE直後に4,219ドルまで上げて安値圏で引けていた。9月の月間下落率は6.7%である。
Macro Drivers(三軸)
実質金利:2.93%(9/30時点)で3営業日続けて上昇。10/1は名目が下がったが、実質の確定値は未確定。水準としては逆風のまま
ドル:DXYは102台と1年半ぶりの高値。前号の「追い風にも向かい風にもなっていない」から、はっきり逆風に変わった
地政学:空母派遣報道と中国の燃料輸出停止で原油が急伸。安全資産としての買い材料だが、原油高はインフレと利上げ観測を通じて金利高にもつながるため、金には両方向に働く
資金フロー結論
金利の反落は金の追い風だったが、ドル高がそれを打ち消した。金は+0.4%にとどまり、9/30高値の4,219ドルにも、4,230ドルのネックラインにも届いていない。下は4,111ドルを守っている。4営業日続けて同じレンジの中にある。
情報元:
- CNBC/Reuters(Gold holds steady with U.S. jobs data on radar、2026/10/01)
- USAGOLD(Daily Gold Market Report、2026/10/01)
- Rio Times(Gold Slips 0.7% to US$4,156 as Rising Yields Erase PCE Bounce)
- FXStreet(Gold recovers above $4,150 as US yields retreat ahead of US September jobs data)
- Trading Economics(Gold)
- Trading Economics(Crude Oil)
- CNBC(Oil prices spike on report that U.S. sends third aircraft carrier to Middle East)
株
S&P 500:7,666.45(+0.19%)(10/1時点、FRED SP500。CNBCも同値)
Nasdaq総合:26,871.60(+0.04%)
ダウ平均:50,926.56(+20.51、+0.04%)
日経225: 68,956.72(+2,203.00、+3.30%)。10/1の東京市場終値(日経公式)。高値は68,995.30。6週間ぶりの高値水準
米株は金利の裏返しで動いた。ダウは寄り付き+0.4%、午前に−0.7%、引けは+0.04%。金利が高値を付けた時間帯に安値を付け、金利の反落とともに戻した。Micronは決算を受けて+3.0%、半導体が戻りを主導した。一方で銀行株は金利上昇への懸念から下げ、小型株のRussell 2000は午後の時点で+0.8%程度と大型株を上回った。原油高が上値を抑えたとの見方が出ている(CNBC)。
日経の+3.30%は、この米国セッションより前の東京時間の動きである。Micronの見通しを受けて半導体・AI関連が大きく買われた。10/1の米株の結果は本日10/2の東京市場に反映される。
情報元:
- CNBC(Major averages post modest gains to kick off October trading、2026/10/01)
- Kiplinger(Stocks Gain as Treasury Yields Fluctuate、2026/10/01)
- FRED(SP500)
- 日経平均プロフィル(Historical Data)
- Trading Economics(Japan Stock Market Index)
Crypto
BTC:84,842ドル(10/2 09:00 JST時点=10/1のUTC終値、CoinGecko)。24時間前の83,576ドルから+1.5%。CoinDeskの表示も84,699ドル(+1.48%、10/2 09:40 JST頃)で整合する。10/1の米東部9:30時点は83,448ドル(Fortune)だった
BTCは米東部の朝に83,400ドル台まで下げたあと、金利の反落と並行して84,800ドル台へ戻した。Nasdaqが+0.04%とほぼ動かなかった日に+1.5%で、金(+0.4%)も上回った。金利の反落に最も素直に反応したのはBTCである。第3四半期は約43%上昇し2024年以来の強い四半期だったが、年初来では約4%安にとどまる(Yahoo Finance)。Citiは12か月の基本シナリオを82,000ドルから113,000ドルへ引き上げた。
現物ETFの資金は逆を向いている。9/17から9営業日続いた流入は、9/30に−1.487億ドルと流出へ転じた。10/1は−0.893億ドル(一部ファンド未集計の暫定値)。価格は戻したがETFからは資金が出ており、戻りの持続力は確認できていない。
情報元:
- CoinGecko(Bitcoin)
- CoinDesk(Markets)
- Fortune(Current price of Bitcoin for Oct. 1, 2026)
- Farside(Bitcoin ETF Flow)
- Yahoo Finance(Bitcoin just landed a surprising new bull、2026/10/01)
Volatility
VIX:16.34(9/30時点、FRED VIXCLS)。10/1はYahoo Financeの表示で16.39(+0.05)。FREDの10/1分は未確定
日経VI:22.92(10/1終値)。日経公式の10/2 09:38時点の値27.18と前日比+4.26からの逆算で、終値そのものの掲載を確認したものではない
前号で持ち越した9/30のVIXは16.34(前日16.04)だった。S&P500が+0.7%から−0.25%へ反転した日でも、VIXの上昇は0.3ポイントにとどまった。10/1も、10年債が24年ぶりの高値を付け原油が急伸した日に16.39である。株式市場は、金利と原油の変動をまだ恐怖として織り込んでいない。
内外の温度差は大きい。日経平均が+3.30%上げた10/1の日経VIは22.92で、VIXより6ポイント以上高い。本日10/2の朝には27.18(+18.59%、09:38時点)へ跳ねており、雇用統計を前に日本側の警戒が先に高まっている。
情報元:
今日の資金フロー
総括:金利を押し上げる材料(ISM価格指数、原油高)が並んだ日に金利が下がった。売りの一巡とみられるが、ドル高は止まらず、金はレンジを出られなかった。方向は本日の雇用統計に持ち越された。
マーケットポジション(中期の歪み)
最大の歪みは、「原油と金利の連動が10/1に崩れたこと」である。このところ長期金利は原油と強く連動してきたとされる(CNBC)。10/1はWTIが+2.7%、Brentが+4.4%と急伸したのに、10年債利回りは5.9bp下がった。買い戻しによる一時的なずれなら、原油高が続くかぎり金利は再び上を試す。連動そのものが弱まったのなら、5.344%が当面の天井になる。どちらなのかは1日では判断できない。
もう一つは、「金利が下がってもドルが下がらないこと」。円が日銀要因で売られ、ドル指数は金利と関係なく102台へ上がった。金にとっては、実質金利とドルという二つの逆風のうち、片方が緩んでももう片方が強まる形になっている。金が4,111〜4,230ドルのレンジに4営業日とどまっているのは、この相殺の結果とみられる(推測を含む)。
三つ目は、BTCの価格とETF資金の向きが逆であること。価格は+1.5%だが、ETFは9/30から流出に転じている。
Next Flow(短期)
シナリオA:雇用統計が予想並みか弱く、金利の反落が続く
シナリオB:雇用統計が強く、金利とドルが高値を更新する
シナリオC:原油が主役になり、雇用統計の効果を打ち消す
Market Bias(短期)
中立。長期債の売りは一巡したが、原油高とドル高が続いており、金も株も雇用統計まで方向を決められない。
最優先の監視項目は3つ。
- 9月雇用統計(予想は雇用者数+9万人、失業率4.1%)と、10月・12月の利上げ確率の変化
- 米10年債が5.344%の高値を再び試すか、5.2%を割るか。ドル指数102台の維持
- 金の4,111ドル(安値)と4,219〜4,230ドル(9/30高値・ネックライン)。原油はBrent 105ドル
本日の市場スケジュール(JST)
- 東京市場:通常取引。前日の米株(小幅高)と原油急伸、158円台の円安を受けた寄り付き。日経VIは朝方27台へ上昇
- 米国市場:21:30 9月雇用統計(FactSet集計の予想中央値は雇用者数+9万人、予想レンジは+6万〜+13万人、失業率4.1%)
情報元:
2026/10/02 09:45 JST 時点。主要トリガーは米長期金利の高値更新後の反落、原油の急伸、ドル指数の102台乗せ。