2026/10/05(月)|雇用者数は+2.9万人と大幅下振れ、利上げ観測は後退も米10年債は5.28%へ上昇。金は4,140ドル前後で週間下落
10/2の米国は、9月雇用統計で非農業部門雇用者数が+2.9万人(予想+9万人)と大幅に下振れ、10月利上げ観測は2割台へ後退した。それでも米10年債の終値は5.28%と前日から4bp上昇。ドル指数は101.92へ小幅安、金は4,140ドル前後で週間でも下落した。S&P500は+0.73%、Nasdaqは+1.19%、日経平均は−0.94%。
- 9月の雇用者数は+2.9万人(予想+9万人)、失業率は4.2%(前月4.1%)。7月・8月は計6万人下方修正。
- 利上げ観測は後退(10月は約22%、Kitco)。それでも米10年債は5.28%(+4bp)、2年債は4.83%、30年債は5.63%で引けた(財務省)。
- 株は上昇。S&P500 +0.73%、Nasdaq +1.19%。日経平均は68,309円(−0.94%)。
- 金は4,140ドル前後(米東部14:33時点)で、終値は未確認。WTIは91.11ドル(−1.90%)、ドル指数は101.92。
- VIXの10/2分、BTC現物ETFの資金フロー、10/2の日本10年債は未確認。
- レジスタンス4,300心理的節目。出典のある水準ではなく節目としての目安
- レジスタンス4,2309/28に割り込んだネックライン
- レジスタンス4,2199/30の日中高値(4,219.24ドル)
- 現在値4,14010/2の現物(米東部14:33時点、Reuters配信のCNBC記事)。終値は未確認
- サポート4,1119/28の日中安値(4,110.87ドル)。10/2の時点では割り込んでいない(終値未確認のため確定ではない)
- サポート4,000心理的節目。出典のある水準ではなく節目としての目安
2026/10/05 08:31 JST(10/2の米国セッションを扱います。10/5の米ISM非製造業は含みません)
Macro Theme
前号は、雇用統計が方向を決めると書いた。結果は大幅な下振れだった。9月の非農業部門雇用者数は+2.9万人(予想+9万人)、失業率は4.2%(前月4.1%)。7月は−1万人、8月は+13.3万人へそれぞれ下方修正され、2か月分で計6万人減った。平均時給は+0.1%(37.81ドル)にとどまる。
利上げ観測は後退した。10月の利上げ確率は約22%(約70%から低下、Kitco)と伝えられている。ところが米10年債の終値は5.28%と前日(5.24%)から4bp上昇した。悪い雇用統計の日に長期金利が上がるのは、前号で書いた「金利が下がれば金が上がる」という筋道が崩れたことを意味する。理由は1日では断定できないが、金利の主因が景気や利上げ観測そのものから離れ、長期債の需給や原油にあるとみられる(推測を含む)。
株は雇用の弱さを好感した。S&P500は+0.73%、Nasdaqは+1.19%、ダウは+0.49%。金は4,140ドル前後で下げ、週間でも下落した。
Market Drivers
① 雇用統計が大幅に下振れ
雇用者数は+2.9万人で予想(+9万人)の3分の1以下。失業率は4.2%へ上昇し、平均時給は+0.1%だった。7月(−1万人)と8月(+13.3万人)の下方修正も重なった(BLS)。
10月利上げ確率は約22%へ低下した(Kitco。別の報道では15%未満とあり、算出元で幅がある)。利上げが完全に消えたわけではない。前号の「10月から12月へ後ずれ」という織り込みが、さらに進んだ段階とみられる。
② 悪い雇用でも長期債は上昇(利回りは上昇)
財務省の公表値で、10年債は5.28%(前日5.24%)、2年債は4.83%(4.78%)、30年債は5.63%(5.61%)。全年限が前日から上昇して引けた。報道では発表直後に利回りが低下したとされるが、引けにかけて戻した。
実質金利(10年)は2.92%で、前日から4bp上昇した。期待インフレ率は2.36%で横ばい。名目の上昇分は、実質金利の側で起きた計算になる。
③ 原油が反落、備蓄放出の報道
WTIは91.11ドル(−1.90%)で引けた。欧州が緊急備蓄の協調放出を協議しているとの報道が重しになった。Brentは102ドル前後(確定値は未確認)。
前号で書いた「空母派遣と中国の輸出停止」による急伸の一部を戻した。ただし水準は90ドル台前半にあり、インフレ懸念を和らげるほどの下げではない。
情報元:
- BLS(Employment Situation Summary, September 2026)
- Kitco(Metals give back jobs-report bounce as oil, yields stay elevated、2026/10/02)
- Yahoo Finance(Stock market today、2026/10/02)
- EnergyNow(Oil Ends Volatile Week Mixed as Emergency Reserve Release Knocks WTI Lower、2026/10/02)
金利(起点)
米10年債利回り:5.28%(+4bp。財務省 日次イールドカーブ、10/2)
米2年債利回り:4.83%(+5bp。財務省)
米30年債利回り:5.63%(+2bp。財務省)
日本10年債利回り:3.092%(10/1。財務省の最新掲載分で、10/2分は未掲載)
実質金利(TIPS10年):2.92%(10/2、財務省 実質利回りカーブ。前日2.88%)
期待インフレ率(10年BEI):2.36%(10/2時点、FRED T10YIE)
前号は「雇用統計が弱ければ10年債は5.2%を割る」と置いたが、割らなかった。ただし2年債は4.83%と、雇用統計前の水準(9/30の4.88%)を下回っている。短期は利上げ観測の後退を織り込み、長期は織り込まなかった形である。
10/2の名目の上昇(+4bp)は、実質金利の上昇(+4bp)とほぼ一致する。金にとっての逆風である実質金利は、弱い雇用統計の日にも上がった。
情報元:
- 米財務省(Daily Treasury Par Yield Curve Rates 2026)
- 米財務省(Daily Treasury Par Real Yield Curve Rates 2026)
- 財務省(国債金利情報 jgbcm.csv)
- FRED(T10YIE 期待インフレ率10年)
ドル
DXY:101.92(−0.17%。Rio Times)。発表前は102近辺にあり、発表後に101台後半へ下げた(FXStreet)
USD/JPY:157.65円前後(日中値、FXStreetの報道。終値は未確認)。発表直後に156.95円まで下げたが、ほぼ戻したとされる
弱い雇用統計でドル指数は102を割った。ただし下げ幅は0.2%弱にとどまり、週間ではなお上昇している。長期金利が下がらなかったことが、ドルの下値を支えたとみられる(推測を含む)。
情報元:
- Rio Times(Gold, Silver, Precious Metals、2026/10/03)
- FXStreet(USD/JPY Price Forecast: Remains supported by 20-day EMA ahead of US NFP、2026/10/02)
商品
WTI:91.11ドル(−1.90%、10/2の清算値。前日92.87ドル。EnergyNow)
Brent:102ドル前後(Yahoo Finance、Trading Economicsは102.25ドル。確定値は未確認)
金(現物):4,140ドル前後(−0.9%、米東部14:33時点、Reuters配信のCNBC記事。Kitcoは4,142ドル)。終値は未確認。前日10/1の清算値は4,182.29ドル(+0.63%、Rio Times)で、前号に書いた4,171ドルは日中値だった。週間では約3.4%の下落とされる。金先物(期近)は4,162.30ドルで清算し、約1%安だった
Macro Drivers(三軸)
実質金利:2.92%で前日から上昇。雇用統計が弱くても実質金利は下がらず、逆風のまま
ドル:DXYは101.92と102を割ったが、小幅な低下にとどまり週間では上昇。追い風とは言えない
地政学:原油は備蓄放出の報道で下げたが、Brentは100ドル台を維持。インフレと金利を通じて金に両方向へ働く構図は前号と同じ
資金フロー結論
前号のシナリオAは「雇用が弱ければ金は4,219〜4,230ドルを試す」だった。実際には、雇用が弱くても金は発表前の高値圏(4,190ドル台)から押し戻され、4,140ドル前後で週を終えた。弱い雇用という追い風を、長期金利の高止まりが打ち消した。
情報元:
- CNBC/Reuters(Gold heads for weekly drop as strong dollar, elevated Treasury yields weigh、2026/10/02)
- Kitco(Metals give back jobs-report bounce、2026/10/02)
- Rio Times(Gold ETF Falls 0.7% as Silver Dips 0.1%、2026/10/03)
- Trading Economics(Brent crude oil)
- EnergyNow(Oil Ends Volatile Week Mixed、2026/10/02)
株
S&P 500:7,722.72(+0.73%)(10/2時点、FRED SP500。前日7,666.45)
Nasdaq総合:27,190.86(+1.19%)(FRED NASDAQCOM。前日26,871.60)
ダウ平均:51,176.96(+250.40、+0.49%)(FRED DJIA。前日50,926.56)
日経225: 68,309.46(−647.26、−0.94%)。10/2の東京市場終値。前日の急騰後の利益確定と、雇用統計・長期金利・原油を前にした様子見が重なった
米株は「悪い雇用統計は利上げ観測の後退」と受け止めて上げた。Nasdaqが最も強く、金利に敏感なハイテクに資金が戻った。長期金利が上がったのに株が上げた点は、10/1の「金利と株が逆に動く」構図からの変化である。
日経の下げは、この米国セッションより前の東京時間の動き。10/2の米株高は本日10/5の東京市場に反映される。
情報元:
Crypto
BTC:84,506ドル(10/3 09:00 JST=10/2のUTC終値、CoinGecko)。前日の84,842ドルから−0.4%。10/5 08:35 JSTの表示は86,555ドル。10/2の米国時間には86,529ドル(+2.11%、Yahoo Finance)まで上げた
雇用統計後にBTCは86,500ドル台へ上げたが、UTC終値では前日を下回って引けた。米国時間の上昇が、その後の売りで打ち消された形である。週末を挟んで、10/5朝には再び86,000ドル台へ戻している。
現物ETFの資金フローは、取得元(Farside)に接続できず未確認。前号に書いた10/1の暫定値(−0.893億ドル)の確定値も未確認とする。
情報元:
Volatility
VIX:16.39(10/1時点、FRED VIXCLS)。10/2分は未確定で未確認
日経VI:22.58(10/2終値、前日比−0.34。日中は27.74まで上昇)
日経VIは、前号で書いた10/2朝の27台から、終値では22.58へ戻した。日経平均が−0.94%と小幅な下げにとどまり、警戒が引けにかけて後退した。
VIXは10/2分が確認できないため、内外の温度差は10/1までの値(VIX 16.39、日経VI 22.92)で見る。日本側の警戒が米国より高い状態が続いている。
情報元:
今日の資金フロー
総括:悪い雇用統計でも長期金利と実質金利は下がらなかった。株はそれを無視して上げたが、金利に敏感な金は戻れなかった。金利の動きと材料の向きが噛み合っておらず、方向感は10/5以降の指標に持ち越された。
マーケットポジション(中期の歪み)
最大の歪みは、「利上げ観測が後退したのに、長期金利が下がらないこと」である。2年債は雇用統計前を下回ったが、10年債と30年債は上がって引けた。短期の政策期待と長期の利回りが離れている。長期側が景気や政策ではなく、需給や原油など別の要因で動いているなら、弱い指標が続いても長期金利は下がりにくい(推測を含む)。
もう一つは、「株と金の分かれ方」。弱い雇用を株は好感し、金は売られた。金にとっては、実質金利が上がるかぎり、利上げ観測の後退が追い風になりにくい。
三つ目は、日米のボラティリティの差。日経VIは22台、VIXは16台(10/1時点)で、日本側の警戒が高い。
Next Flow(短期)
シナリオA:ISM非製造業が予想を下回り、長期金利も下がり始める
シナリオB:ISM非製造業が強く、長期金利が高値圏にとどまる
シナリオC:FOMC議事要旨(10/8 03:00 JST)がタカ派で、10月の可能性が残る
Market Bias(短期)
中立。弱い雇用統計でも長期金利と実質金利が下がらず、金は戻りが鈍い。株は強いが、金利の動きが材料と噛み合うまで方向は決めきれない。
最優先の監視項目は3つ。
- 10/5のISM非製造業(予想55.1)と、10/8のFOMC議事要旨
- 米10年債が5.28%から5.2%を割るか、5.344%の高値を再び試すか。実質金利2.92%の方向
- 金の4,111ドル(安値)と4,219〜4,230ドル(9/30高値・ネックライン)。ドル指数101.92
本日の市場スケジュール(JST)
- 東京市場:通常取引。10/2の米株高と原油反落を受けた寄り付き
- 米国市場:23:00 米ISM非製造業景況指数(9月。市場予想は55.1、前回55.4)
- 10/8 03:00 FOMC議事要旨(9/15〜16開催分)、10/14 米CPI
情報元:
- investingLive(Week ahead: ISM services, Fed minutes and Canadian jobs lead the economic calendar)
- TradingKey(The Week Ahead: Fed September Minutes, PepsiCo and Delta Earnings in Focus)
2026/10/05 08:31 JST 時点。主要トリガーは雇用統計の大幅下振れ、長期金利の上昇、金の週間下落。