Fed利上げ週を高値圏で終える。米10年は再び5%台、金は4週ぶり週間高
Fedが3年ぶりの25bp利上げに踏み切った週の最終日、米10年債利回りは5%台へ戻った。にもかかわらず株は崩れず、金は1週間ぶりの高値をつけて4週ぶりの週間上昇となった。金利とドルが上がるなかで金が買われたことが、この週の最も説明を要する動きである。
- Fedが3年ぶりの25bp利上げ。12対0の全会一致で3.75〜4.00%へ。
- ドットプロットは年内もう1回の利上げを示唆。2027年末は4.00〜4.25%。
- 米10年は+5bpの5.004%と再び5%台。それでも株はほぼ変わらずで耐えた。
- 金は4,378ドルの1週間ぶり高値。金利高・ドル高のなかでの上昇という点が異例。
- 東京は敬老の日で休場。ここから9/23まで5連休に入る。
2026/09/21 発行分
本稿は9月22日15:12 JSTに、9月21日時点で入手可能だった情報にもとづいて遡って作成したものです。当日朝に配信したものではありません。
Macro Theme
3年ぶりの利上げは通過した。金利は5%台へ戻り、ドルも上がった。にもかかわらず金が買われている。この週の焦点は、利上げそのものではなく、インフレの経路が原油から何に移るかにある。
Market Drivers
① Fedが3年ぶりに利上げ(9/16)
政策金利を25bp引き上げ、3.75〜4.00%へ。2023年7月以来の利上げで、採決は12対0の全会一致。今年5回の会合を据え置きで通したあとの方針転換である。ドットプロットの中央値は年内もう1回の利上げを示し、2027年末の着地を4.00〜4.25%としている。
② 金利は5%台へ、それでも株は耐えた
米10年債利回りは金曜に5bp超上昇して5.004%。30年は5.333%。通常なら株の逆風だが、S&P 500は+0.17%、Nasdaq総合は+0.39%で引けた。ダウのみ−0.18%。利上げが織り込み済みだったことを示す反応である。
③ 原油は下落に転じた
サウジとフーシの応酬という供給不安の材料がありながら、サウジ増産で追加の原油が市場に出るとの観測が上回った。Brentは3週間ぶりの週間下落。ここが翌週にかけての起点になる。
金利(起点)
米10年債利回り:4.95%前後 → 5.004%(+5bp超)
米30年債利回り:5.333%(+3bp超)
利上げ直後に金利が上がること自体は素直な反応だが、注目すべきは曲線の長い側まで上がっている点である。短期だけが上がるなら「引き締めの織り込み」だが、30年まで上がるのはインフレ期待の残存を示す。
カシュカリ総裁は日曜に「インフレは石油ショックの範囲を超え、サービス分野にも広く及んでいる」と述べた。長期金利が下がらない理由は、ここにある。
情報元:
- CNBC(Fed rate decision September 2026: Rates rise to 3.75%-4%、2026/09/16)
- TheStreet(Stock Market Today Sept. 18, 2026、2026/09/18)
- FXStreet(Fed’s Kashkari: Inflation is still too high、2026/09/20)
ドル
DXY:100.22(+0.24ポイント)
利上げと追加利上げ示唆を受けて素直に買われた。週間では約7週ぶりの高値圏に到達している。
ドル高は通常、金の逆風である。それが効いていないことが、この日の異例さを示す。
情報元:
商品
WTI:101.30ドル(−0.61ドル、−0.6%)
Brent:103.17ドル(−1.65ドル、−1.6%)。週間−1.4%で3週間ぶりの下落
金:現物4,378.63ドルで1週間ぶりの高値。12月限は+0.57%の4,424.90ドルで清算し、4週ぶりの週間上昇
原油の下落要因は、サウジとフーシの応酬という供給不安よりも、サウジ増産で追加供給が市場に出るとの観測が上回ったことにある。ただし水準そのものは WTI 101ドル、Brent 103ドルと依然高い。下がったが、高いという状態である。
なぜ金利高・ドル高のなかで金が上がったのか
この日の最も説明を要する動きがこれである。金利が上がり、ドルも上がった。金には二重の逆風だったはずだ。
考えられる経路は2つある。
ひとつは、原油安によるインフレ期待の後退。名目金利が上がっても、期待インフレがそれ以上に下がれば実質金利は上がらない。ただし30年債まで上がっていることを踏まえると、この説明だけでは足りない。
もうひとつは、利上げ完了後を先に見る動き。ドットが示すのは年内あと1回。つまり打ち止めが視野に入った。利上げサイクルの終点が見えると、金は名目金利ではなく「その先の実質金利」を織り込みにいく。
どちらが主因かは、この時点では判定できない。判定材料は実質金利(TIPS10年)の推移である。
情報元:
- CNBC(Oil prices today: Brent, WTI, Saudi Arabia, Houthi、2026/09/18)
- RoboForex(XAU/USD Gold Forecast 2026/09/18)
株
S&P 500:7,650.50(+0.17%)
Nasdaq総合:26,522.55(+0.39%)
ダウ:51,682.64(−0.18%)
日経225:65,018.95(+882.70、+1.38%)
利上げ week を終えて、米国株はほぼ変わらず。指数間の差はハイテク寄りが強く、ダウが弱いという構図で、金利上昇に対する感応度の差がそのまま出ている。
日本株は3日続伸で、9月10日以来となる65,000円台を回復した。ただしTOPIXは4,091.14の−0.07%。日経だけが上がってTOPIXが下がったのは、値がさハイテクに買いが偏ったことを意味する。市場全体が買われたわけではない。
情報元:
今日の資金フロー
原油から抜けた資金が金へ向かい、同時に利上げを受けた資金が債券へ戻った。株は動かなかったのではなく、買いと売りが拮抗して動かなかったと読むべきである。
完全なリスクオフでもリスクオンでもない。利上げという既知のイベントを消化し、次の材料を待っている状態だ。
総括:利上げは通過点にすぎず、市場の関心はインフレの経路そのものへ移りつつある。
マーケットポジション(中期の歪み)
最大の歪みは、30年債利回りが5.333%まで上がっていることにある。
短期の引き締めなら、長期金利は景気減速を織り込んで下がってもよい。それが下がらないのは、市場が「引き締めてもインフレは戻りきらない」と見ている可能性を示す。カシュカリ発言はこの見方を補強する。
もうひとつは日本株の内部構造である。日経が+1.38%でTOPIXが−0.07%という乖離は、上昇の土台が薄いことを示す。連休明けに海外要因で下押しが来た場合、支える買い手が少ない。
Next Flow(短期)
シナリオA:原油の下落が続く
金は実質金利の低下が追い風になるが、地政学プレミアムの剥落が同時に進むため、上値は重くなる。
シナリオB:サウジ・フーシの応酬が激化する
金は地政学とインフレの両方で買われ、この局面では最も素直に上がる。
シナリオC:Fedが年内あと1回では足りないと示唆する
金は「利上げ完了後を先に見る」という支えを失い、明確な逆風となる。
Market Bias(短期)
中立。利上げを消化し、次の材料待ち。
最優先の監視項目は3つ。
- 原油の下落が続くか、反転するか
- 30年債利回りが5.3%台に定着するか
- 実質金利(TIPS10年)の推移
本日の市場スケジュール(JST)
- 東京市場:休場(敬老の日)。ここから9/23まで5連休に入る
- 米国市場:通常取引
- 連休中の海外変動は再開時の寄り付きに一括で反映されるため、窓を開けやすい
2026/09/21 分。主要トリガーは原油、30年債利回り、Fed高官発言。